おはようございます。満室請負人®の佐藤泰裕です。
今日は「敷金」について考察します。
オーナーは、賃貸借契約を締結により、敷金としてを「賃料の1~2ヶ月分を相場に、入居者から金銭を受け取ることがあります。
敷金は法律上、次のように定義づけされます。
「不動産の賃借の際、賃料その他賃貸借契約上の債務を担保する目的で入居者がオーナーに支払う停止条件付返還債務を伴う金銭」
オーナーの立場から言い直すと、
「不動産の賃貸の際、賃料その他賃貸借契約上の債権を担保してもらう目的で入居者から受け取る停止条件付返還債務を伴う金銭」
意外ですが、敷金を預かる「賃貸借契約」を締結するたびに従属して「敷金契約」を締結していることになります。
Q、「敷金預かり証」は、発行する必要があるのでしょうか??
敷金契約は、敷金の「授受の合意」と「交付」により成立する要物契約です。
敷金の授受の目的は、敷金契約の成立のためであり、この時点では、なんらかの「債務の履行」ではないので「弁済」※(1)とは言えません。
(※(1)「弁済」とは、債務の内容に従い,現実に給付をなすこと)
弁済ではないので、民法486条の定める「弁済したもの(入居者)は、弁済を受領した者(オーナー)に対し、受取証書の発行を請求できる」というルールに該当しません。
よって、法律上は、領収証や「敷金預かり証」等の受取証書の発行義務はありません。
Q、敷金は必ず返すものですか??
敷金は、預かっている期間無利息で、賃貸借契約の終了後、建物の明渡しの後に、
未払賃料と原状回復費用に充当し、残額がある場合に、入居者側からオーナーに
返還請求をすることになります。
オーナーは、返還請求に基づき、敷金返還をします。
明渡しと同時履行する必要はなく、明渡しの日から30日程度の期間内に返還すればよいでしょう。
原状回復費用等で、敷金の返還ができない場合は、返還を拒否することになります。
ここで揉めると裁判(少額訴訟)を起こされることも考えられます。
現在は、簡易裁判所に簡単な書式が用意されており、法律の素人でも簡単に裁判(少額訴訟)が起こせるようになっています。
【敷金を返還する場合の注意点】
敷金返還は、法律上「弁済」にあたります。
よって、入居者から敷金返還受取証を必ず受け取りましょう。
【敷金預かり証を発行している場合】
・ 敷金返還と同時に「敷金預かり証」を要求する。
・ 賃借人が預かり証を紛失してしまった場合、返還をすることに躊躇する。
・ 敷金預かり証は、必ず控えを作リ保存しておく。
・ 預かり証が第三者に悪用されることも考えられるので、悪用できないような
書面を作成する。
・ 敷金の預かり証は、印紙税法別表第一の第17号の2文書(売上代金以外の金
銭の受取書)に該当する。
・5万円以上の場合は印紙の貼付義務がある。原本は入居者に渡し、コピーを控
えとする。
・発行した場合は経費計上する。
【敷金返還をしない場合の対策】
・ 原状回復費用明細に敷金返還がないことを明文化する。
・ 原告の入居者は、敷金契約が成立したことの証明が必要となり、敷金預かり
証は証拠として提出されやすいので、敷金預かり証には未払い賃料及び原状
回復費用に充当されることを記載しておく。
・ 敷金の授受は銀行振り込みが良い。
金融機関により振込票が発行され、口座に入出金の履歴が残る。
契約金一式として合算で振り込まれることが想定されるので、内訳表を発行し
ておく。
a 振込みで支払われた場合:通帳記帳後内訳明細表と作成しておく。
銀行発行の振込票を保管し証明とします。
b 直接手渡しで支払われた場合:領収書 や 受取書を要求されるケースが多い
ので、敷金預かり証と領収証を作成する。